『芝居をする時に一番心掛けるべきこと』

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『役者が演技をする時に一番心掛けるべきこと』 #役者 #俳優 #演技 #芝居

どうも、木全俊太です。


今回は『俳優が芝居をする時に一番心掛けるべきこと』というテーマでお送りしたいと思います。


僕は以前木下ほうかさんなどがいらっしゃる俳優事務所でマネージャーをしていたことがあって、自分自身も俳優をしていた経験があるんですが、今回の記事でも、その頃にいろんなプロデューサーさんや監督さんから教わった大事だなと思うことを、皆さんにシェアさせて頂けたらと思います。


これから俳優を目指したいという方に少しでも何か役に立ったと思ってもらえることがあったら幸いです。


では早速本題に入っていきたいと思います。


僕が思う“芝居をする時に一番心掛けるべきこと”それは、『感情を動かしてやれるようになること』だと思います。


台本、段取りを追うことより、その瞬間の感情に伴った動きをすることの方が遥かに大事で、感情に伴った結果、台本と違う動きになっても、それは構わないと思います。


感情に伴った芝居をしないと“形でやっているだけの芝居”“相手が誰でも変わらない芝居”から脱せれないという状況になってしまうんです。


だから台本に“泣く”とあっても、その前までの芝居が泣けるような状況になっていなければ、わざと泣くようなことは絶対しなくていいと思います。


だからある意味、ノープランで無防備にやる勇気っていうのも芝居には必要なのかもしれませんね。


台詞を正確に順番通りに言うことよりも、その場の感情を大切に、自由に芝居をすることが大事で、こんなこと言うと怒る人もいるかもしれませんが、台詞なんて別に詰まったっていいんです。


感情や想いがそこに伴ってなければ、一語一句違わずに台詞言えたとしても、それは相手には響かないものだったりします。


それと、相手のキーとなる台詞を聞いたら顔を上げるとか、動きやパターンで感情を表現しないっていうことも大事だと思います。


役の感情になっていたら、自然と、その感情にふさわしい動きになるはずです。


“自分はこういう感情でやっています”みたいな魅せよう分からせようとしている芝居は観ていて冷めちゃうものです。


一人芝居じゃなければ、そもそも基本的に、感情は自分の中から起こすものじゃなくて、相手からもらうものだと思うんです。


だから言ってしまえば、自分の芝居も自分の為じゃなくて、相手に影響を与える為の芝居とも言えると思います。


共演者と感じ合えるかが芝居の生命線なので、演技プランや作戦を実行するだけの一人芝居にならないように、その瞬間に感じたことをありのままに表現する方がいいと思います。


プランを完璧に遂行するのが芝居の上手さじゃなくて、相手の何気ないアクションにどれだけ瞬時にリアクション出来るかの方が大事だと思います。


目立とうとして自分勝手なアドリブしたくなっちゃう時もあるとは思うんですけど、芝居はあくまで共演者と一緒に積み上げていくものっていう意識を忘れないようにしましょう。


監督も、作りこんできたプランを見たいわけじゃなくて、その役者が今相手役と向き合って、何を感じ、何を思っているかが観たいものです。


それに、決め込んでやるものより、不意に出たものの方が面白かったりするので、話を無理に展開させようとか、上手くやろうとはしないで、プランの代わりに役としての目的だけしっかり持って芝居をすれば大丈夫だと思います。


例えば、何か相手役に伝えたいことがあるっていうシーンなら、そのことをどうしたら相手に伝えられるかっていう役の目的に集中することですよね。


ただその中でどうしてもトライしたい演技プランがあるなら、さり気なくやればあざとくならないと思います。


余談ですが、俳優の小日向文世さんは以前トークイベントで、自分本位で演じるのではなく、相手役からしたら、どう接してくれたら嬉しいかも考えることが大事と語られていました。


『考えるな、感じろ』っていうブルース・リーの名言もありますが、頭でいろいろ考えるんじゃなくて、今起きてることに没頭する、思わず漏れたのが台詞になるっていう、そういうリアルな感覚が持てると、より生き生きした芝居になっていくと思います。


相手の目を見て話し、ちゃんと“会話”するっていうことですね。


そうやって相手の些細な言動にもちゃんと反応していけば、芝居っぽさみたいなものは無くなっていくと思います。


だから本来、相手の反応によって、自分の芝居も変わらないといけないんですよね。


なので、よーい、ハイ!で芝居スタートしたら、アイデアやプランさえ、相手からもらうつもりで、ただただ相手役と向き合うのが大事だと思います。


自分で解決しようとしないで、芝居中、もっと相手役に頼っていいと思うんです。


芝居をする時の意識の対象なんですけど、どうしても相手役じゃなくて、監督だったり観ている人の視線みたいなものを意識してしまいがちですけど、観ている人への意識だったり、そういう自意識みたいなものは一切捨てて、目の前の相手に意識を向けて芝居をすることが何より大事だと思います。


観ている人に伝わるように芝居するんじゃなくて、相手役に伝わるように芝居をすれば、結果的に、それを観ている人にも伝わる芝居になるはずです。


コメディの舞台作品だと、笑いが起きてるかとか気になりがちだと思うんですけど、観客のリアクションは一切気にしないで、ある意味、淡々と面白いことをするっていうのがいいと思います。


 “今、上手くいってないな”とか、芝居中にそういう自意識が入ってくるのは、残念ながら役になりきれてない証拠です。


それと、これはお世話になった映画監督の冨樫森監督がおっしゃっていたことなんですけど、他人より秀でた芝居をするコツは3つあって、一つ目が“早い芝居をすること”、二つ目が“明るい芝居をすること”三つ目が“ファニーな芝居をすること”であるということを教わりました。


一つずつ解説させて頂くと、まず一つ目の“早い芝居を”というのは、特に台詞についてなんですが、芝居ってテンポがすごく重要で、そのテンポって台詞のやりとりの仕方で変わってくるんですけど、台詞を言うのが遅いと、芝居のテンポが悪くなってしまうんですよね…


もちろんゆっくり話すべき場面もあるんですけど、基本的に台詞はなるべく余計な間を空けずに、早く軽快に言っていく方が芝居のテンポも良くなります。


二つ目の“明るい芝居を”というのは、大抵の人はローテンションで感情の起伏の無い芝居をしがちで、1つのシーンの中でずっと同じ調子で芝居をされても見ている側としては何をやっているか分からないし、全く面白くないので、明るく、感情豊かに演じれる人は、それだけで目を引くものなんですよね。


監督も演出する上で、足すのは大変だけど、引くのは簡単なので、ちょっとやり過ぎかなっていうぐらいに思いっきり、ハッキリと演じた上で、後は監督側で調整してもらうっていうのがいいと思います。


分岐点をちゃんと掴んで、芝居に強弱をつけるということですね。


最後三つ目の“ファニーな芝居を”というのは、台本通りの芝居じゃなくて、何か観ている人が思わず笑ってしまうような、面白い芝居が出来るかということです。


面白いの定義も人それぞれなので、一概には言えませんが、一言で言えば、人を楽しませるような芝居が出来ているか、ということでもありますかね。


これは僕の勝手な持論ですけど、舞台で輝いている人とそうじゃない人の違いは、“その人自身が楽しんでいるかどうか”だと思うんですよね。


これら三つのことが出来ていると、きっとオーディションなども、勝ち抜きやすくなると思います。


それと、さっきの話と通ずる話でもあるんですけど、悲しいシーンがあった時に、それをそのまま悲しく演じないというのも大事なことです。


例えば、別れ話をするシーンでも深刻にやらないことです。


なぜなら 、悲しいのにそれを見せずに笑っていたり、相手を想うが故に、あっけらかんと話したりする方が観ている側からしたらグッとくるからです。


だから、影のある台詞も暗く言わないで、明るさを装って言うことで、内面に抱えている本当の気持ちがより伝わる芝居になると思います。


それと、もうひとつ気をつけるべきことがあって、ひとつのシーンを演じる時に、その後の展開を予感させるような入り方をしちゃいけないということです。


なので、この後悲しいことが起こるっていうシーンなら、そのシーンの入りは、そんなことまるで感じさせないように明るく入るべきだと思います。


ちょっとどなたから聞いたことかは忘れてしまったんですけど、以前ある方からすごく良い話を聞いて、伝わる芝居と伝わらない芝居の違いっていうのは、自分を隠さずに、裸で演じられているかどうかで、この覚悟があるかないかで全く違うんだと。


隠しごとのない演技っていうんですかね。


自分を良く見せようとしないで、心のままに自分で芝居をすることが大事なんだと、その方から教わりました。


これを聞いた時強く感じたのは、芝居ってやっぱりその人の生き様みたいなものがそのまま出るものだなって改めて感じました。


普段の自分っていうものが、良くも悪くも芝居には出るので、芝居で剥き出しに演じる為には、普段から剥き出しで生きるのが大事というか、剥き出しっていうと大袈裟ですけど、普段から本音で周りと接するように心掛けることで、芝居でも相手役と本音のやりとりが出来るようになるんじゃないかなって思います。


これは芝居に限った話じゃないですけど、根拠があるから人は動くんだっていう人もいると思うんですけど、大事なのは、どれだけ相手の感情に訴えかけられるかが大事だと僕は思ってて、感情が動けば、例え根拠が無くても人は動くものだと思うんです。


だから、倫理に頼らないで、普段から、自分や相手の感情を感じ取る習慣を持つこと。


さらには、自分よりも相手にもっと意識を向けて、いろいろ“感じながら”生きることが大事なんじゃないかなと思います。


あと、普段の生活の中で心掛けるべきこととしては、自分の気持ちや想いを言葉にする習慣を持つことだと思います。


それと、逆に思ってもないことを言うのはやめることですかね。


実際、言うのは簡単で、これすごく難しいことではあるんですけど、そういう素直さだったり正直さを持って、他人と真っ直ぐ向き合うことを意識して、会話じゃなくて“対話”をちゃんとすることが大事だなと思います。


ここでもう一度実際の芝居の話に戻ろうと思うんですけど、冒頭の話で、演技プランは考えないこととお話ししたんですけど、それはあくまで芝居が始まってからの話で、いざ芝居に入ったら、演技プランは一度忘れて、相手に集中することが大切ですが、撮影日だったり、本番の日までに、ある程度どう演じるべきかっていう自分のプランは立てておくべきです。


そのプランを立てる時に気をつけることとしては、自分が最初に思いついたプランを疑うっていうことです。


つまり、最初に思いついたアイデアで芝居するんじゃなくて、熟考してから監督の前で観せることが大事だと思います。


よく監督が嫌いがちな芝居に、ステレオタイプな芝居ってよく言い表されてる芝居があるんですけど、イージーで分かりやすい、そういうステレオタイプな芝居は、監督が最も嫌う芝居のひとつで、如何せん、新人さんが最初に思いつく演技プランって、残念ながらそういうステレオタイプな演技プランになりがちなんですよね。


そういう僕も役者をやってた時期は始め、こういう芝居しちゃってました(笑)


例えば、虫歯で歯医者に来ている人の役を演じるとして、芝居始めたての頃は、分かりやすく頬を抑えて痛がるような芝居をしてしまいがちだったりしますが、そんな風にしながら待合室で待ってる人って実際いないですよね。


だから、そういう説明じみた演技とか、状況説明みたいなアドリブは必要無いし、むしろやっちゃ駄目何ですよね。


他にも、ある嘘を隠している人の役を演じる時に、芝居観ている人にその状況伝える為に、嘘ついてるのバレバレな芝居をしてしまいがちですが、そういう時はむしろ隠し通すつもりで芝居した方がいいんですね。


本来人って基本的には本心を表に出さない人がほとんどなので、例えば、相手に嫌悪感を抱いている役を演じているとしても、それは一瞬の軽蔑的な視線だけで、観ている人には十分伝わるものなんですよね。


だから、そういうシーンでは、あからさまに態度に出さない方がむしろいいと思います。


少し話それますが、俳優の竹野内豊さんは、泣くシーンを演じる時は、泣こう泣こうと思うんじゃなくて、泣かないぞと思う方が、結果泣けると以前インタビューで話されてました。


すごい興味深いエピソードですよね。


演技プランを考える時に、もうひとつ意識した方がいいこととしては、“自分が一番やらないような芝居は何か”っていうことを考えてみることです。


そう考える癖をつけることで、自分の芝居のパターンも自ずと拡がっていくんじゃないかなと思います。


最後に、演じる人の印象を大きく左右することについてのお話をさせて頂けたらと思うんですが、芝居の80%は“目”で決まると言われていて、集中力、理解力がある役者さんは目が違うものなんですね。


これは、演出家の蜷川幸雄さんがおっしゃっていたことなんですけど、目力がある役者は一瞬で観客を惹きつけるもので、日頃から目標に向かって一歩ずつ近づいていく力を持つ役者は自然とこの目力やオーラをまとうものなんだと、そして、そういう役者は演出を受ける中で抜群に成長していくというお話をされていました。


役者にとって、目が、そして日々の意識が、いかに大事かを思い知るお話ですよね。


そんなわけで皆さんも、芝居の稽古を通じて、そして日常生活を通じて、他人を魅了する役者に近づけることをぜひ小さいことからやってみてもらえたらと思います。


というわけで今回はこの辺にしようと思います。


これを読んで下さっている皆さんが、俳優としてさらに活躍していってもらえることを祈ってます。


記事を最後まで観て下さってどうもありがとうございました!

木全俊太

【Twitter】https://twitter.com/kimatashunta